滞在していたゲストハウスの近くに識字運動のボランティア団体、Big Brother Mouseのオフィスがありました。やっているのは出版社の元経営者、今は引退しているサーシャというアメリカ人男性です。

ラオスの識字率は60%程度。小学校の卒業率は40%くらいだそうです。

ラオスではそもそも字を読むことはめんどうなことだと考えている人が多いらしく、欧米のバックパッカーがバスの乗り継ぎを待つためにバス停で分厚いペーパーバックなどを読んでいると、なんであんな苦労を自らするのか理解できない、と思うそうです。

字を読めるようになるということは契約などでだまされない、という実生活上のメリットだけでなく、知識を身につけるためになくてはならない技能です。ところがラオスには本や新聞などを読むという字を読む習慣がありません。だいたいラオス語での出版物がほとんどない(一年に10タイトルほどしかラオス語の出版はないそう)。特に子供向けの本はまったくといっていいほどないそうです。子供の時に絵本などを読んで、楽しいと思う経験がないと、字を読むことは苦痛以外の何ものでもないと思うようになることは想像にかたくありません。

そこでこのBig Brother Mouseでは、ラオ語で子供向けの本を出版することを目的として活動しています。まずは英語の絵本をラオ語で訳して、イラストは現地の子供に描かせて(これが上手い!)出版するというのが一つ。でもこれは著作権の問題などがあっていろいろ難しいそうです。それで何か英語でショートストーリーを書いてくれる人を探しています。それをラオ語で出版するのです。寄付金で援助することもできます。たとえば150ドル寄付すると、1冊1.5ドルの絵本を100冊買い上げて、ラオスの子供に配ることができるわけです。Donちゃんは帰国してからPaypalでさっそく寄付しました。

もう一つの活動は英語を教えること。旅行者でもこのボランティアは簡単にできます。DonちゃんもBちゃんも、時間があればボランティアをしてました。特にBちゃんはプロですから。私も教室がなかった日に一度行って、ラオスの若いお坊さんたちと会話の練習をしました。これは毎日午前中と午後、時間帯が決まっていて、ラオスの子供も大人もふらっと立ち寄ることができます。学校の授業と、あとは独学で英語を勉強しているというラオスの若いお坊さんは、英語を話す機会があることをとても喜んでいました。そのうちにわらわらと人が集まってきたので、Donちゃんは、大人数を相手に英語の本を読みました。みなさんもルアンパバンに行かれたら、ぜひ一度Big Brother Mouseに立ち寄ってみてください。親切なラオスの人たちにほんの少しお返しができます。