ガムラン音楽のクラスを1学期とって、次の学期からはいきなりグループに入ってしまい、毎週水曜日に練習を続けています。

先週は大きなイベントがありました。ワヤン・クリといわれる影絵芝居といっしょに演奏したのです。ジャワからプロの、しかも超有名なダラン(人形遣い)と、ガムラン音楽の中心となるドラムをたたく先生(とその奥様はアメリカ人女性で人形遣いの台詞を同時に通訳しながらコンピューターのスクリーンにうつしていく)を呼んで、シンガポール美術館で2晩パフォーマンスをしました。その前から練習、長時間にわたるリハーサルで、ものすごい忙しさでした。

ワヤンはジャワでは夜10時ごろから朝5時くらいまで、えんえんと上演されます。ガムラン音楽の演奏者は数が多ければ途中で交代したり、寝たり、食べたりもできますが、ダランは休みなしです。両手で人形を操り、即興でいろんな台詞を入れて観客をわらわせ、足ではパーカッションを鳴らしドラム奏者と連携してガムランを指揮し、音楽を指定し、とまさに超人的活躍。今回のパフォーマンスは1日目が30分、二日目は2時間のダイジェスト版でしたが、初めてのワヤン、しかも演奏する側に入って見ることができて、感動しました。

人形は水牛の皮をうすーくのばし、乾燥させ、板のような状態になったものを細かく切りきざみ、色をつけところどころに水牛の角で操作できるようになっています。これが本当にすばらしく表情豊かに動くんです!もう戦闘シーンなんか、なんとかレンジャー顔負けです。ちゃんと刀を振り回し、矢を放ち、相手をぶんなげるんです。ぶんらげられた方だって、ぐるぐる回ったり、ほんとうに放り投げだされたり、すごくダイナミック。そうかといえば微妙なうでの動きはとても繊細。

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ガムラン音楽は本当はメンバーは実際の演奏が始まるまで、何の曲を演奏するのかは知らないのだそうです。ダランの合図でドラム奏者がキューをだして、そのキューで、数あるれパートリーの中から「あ、あの曲ね」とみんなわかって、それでいっせいに演奏できるんだそうです。私たちアマチュアにはそんな芸当はとても無理なので、一応曲目のリストがありましたが、これが変わる変わる!もう直前のリハーサルで削られるわ、新曲が追加されるわ、本番でも結局順番も微妙に変わり、それでもみんな必死でついていったのでした。しかも何回繰り返してどこで終わるかは、それこそダランとドラムの合図を聞かなければわかりません。戦闘シーンなんか特に思い切りフォルテで演奏してるし、ドラムは派手にばんばん敲くから、よけいに何の合図か素人にはわかりにくいけど、みんなの気合でなんとかまとまり、当初は困惑気味のダランもとても満足されたようでした。

本来なら、パーカッションのちょっとした合図でぴたっと決まるはずなのに、素人にはその合図が聞けないんですねえ。本当に。でもえらい先生と、参加してくれたセミプロみたいな人たちと、天才的なリーダーの先生と、メンバーの半分以上を占めるインドネシア人メンバーのおかげもあり、上手くいったんです。感動ものでした。私は忙しくて暗譜もできず、しかも初心者だし、ワヤンの音楽がどんなものかもぜんぜん知らなかったくらいですが、途中で他のメンバーと交代しながら、一緒に演奏できてほうとうに幸せでした。昔オーケストラでバイオリンをひいてたころを思い出しました。

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お客さんもたくさん来て、でも、いかにもワヤンらしく、ぼちぼち帰っていったりしました。ジャワ方言がわからなかったらたぶん話はよくわからなかったはず。もちろん私もぜんぜんわかりませんでしたが、それでもワヤンの魅力に圧倒された2日間でした。